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スポーツ医科学(スノーボードを安全に)

鷲見 靖彦(鷲見病院)
  若者に人気の手軽で遊び感覚のスノーボード(以下ボード)の中には重大な危険が潜んでいます。しかし、ボード外傷の特徴をよく理解し、大自然を相手にする厳しいスポーツであることを認識すれば、より安全で楽しいスポーツとして発展するでしょう。
 日本にスノーボーダー(以下ボーダー)は少なくとも約300人はいると考えられています。また、けがの発生率は1000人のボーダーがいれば2人は病院を受診するようなけがをしています。
ボードの外傷の種類を見ると骨折が37%と一番多く、その約半数は手首の骨折です。その他、切り傷(18%)、脱きゅう(15%)、打撲(14%)、捻挫(9%)、頭部外傷(7%)の順です。受傷した雪面を見ると硬い雪面での受傷が多く見られます。ボード外傷には頭蓋内出血(急性硬膜下出血)、脊髄損傷、腹腔内出血などの重大事故もあります。
 初心者はバックサイドの逆エッジによる後方転倒が多く、特に、硬い雪面での後頭部の強打が非常に危険で頭蓋内に出血することがあります。前方に転倒した時には、”かばい手”による手首の骨折が多く、また、後方に跳ねあがったボードでの頭部の切り傷も多いので必ず帽子はかぶって下さい。
 一昨年までは初心者の逆エッジによる単純転倒が多くありましたが、昨シーズンより中級者がジャンプで失敗したり、ボーダー同士の衝突による脊椎骨骨折、腹腔内出血が目立ち始めました。
また、スピードの出し過ぎで転倒による肩関節の脱きゅう、鎖骨骨折が多くあります。スピードはコントロールできる範囲にしましょう。
 ボーダー、スキーヤーともにスキー場内でのルール、マナーを守って下さい。初心者はソフトな雪質で混雑していないスキー場で充分に基本技術を習得し、無理をせずに徐々に技術のレベルアップをして下さい。中級者になったら勝手にジャンプ台を作らないで指定されたワンメイクジャンプ、ハーフパイプでプロテクターを付け、ボードを楽しんで下さい。
 最後に、もし、頭部を強打した時には症状が出なくても病院でCT検査を受けて医師の指示に従って下さい。