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スポーツ医科学(子供の内科的スポーツ障害)

田内 宣生(大垣市民病院)
 そろそろ本格的な秋になり運動会の季節ですが、ちょっと心配なのはスポーツに伴う事故や障害です。メディカルチェックを受けてみるよい機会かもしれません。
 普段から激しい運動をしている子は夏の疲れが残っていませんか。夏の運動は鉄の消費が多く、知らないうちに貧血が進んでいることがあります。貧血が進むと顔色が悪くなったりめまいがしたり、集中力がなくなったりします。運動量の多い子は一度検査を受けておくとよいでしょう。鉄分の多い食べ物をとるように心がけることも大切です。
 秋とはいえまだ暑い日もあります。暑い日の運動は、涼しい服装で充分に水分を補給して長時間の激しい運動は避けるようにして、熱中症に注意しましょう。熱中症は進行すると意識をなくしたり、腎不全になったりする危険な病気です。
 全国で毎年50人前後の学童生徒が運動中に突然死し、その半数以上は心疾患が原因だといわれています。心疾患とくに心臓手術後や、不整脈、心筋疾患のある子は心エコー検査や運動負荷検査などを受け、それぞれの安全な運動の範囲を知っておく必要があります。
 水泳中には陸上の運動とは違った多彩な不整脈ができやすいことが知られています。とくに潜水中には心拍数がゆっくりとなり、徐脈に伴ういろいろな不整脈が出ます。水温が低いとこの傾向が強くなります。心室頻拍やQT延長症候群では特に注意が必要です。顔面浸水試験と運動負荷検査を組み合わせると水泳中の不整脈の予測がある程度可能だといわれています。専門医と相談してください。
 アレルギー疾患のうち、気管支ぜん息では運動直後や数時間後に発作をおこす子がいます。運動誘発性ぜん息といい運動方法を工夫したり、予防的に薬剤を用いるとかなり防ぐことができます。
 食事後に運動して呼吸困難、血圧低下、意識消失などのアナフィラキシー様症状をおこすひとがあり、カニ、エビ、小麦、ソバなどの食物アレルギーが多いといわれています。原因食物摂取後の危険なことがあり、専門医のチェックが必要です。
 病気のある子もない子も楽しく安全にスポーツに参加したいものです。一度、メディカルチェックを受けておくと安全です。