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スポーツ医科学(勝てる選手を育成)

津田 壽郎(ソニー一宮)
 競技スポーツには、個人競技と団体競技がありますが、いずれの競技も過去の「精神論的スパルタトレーニング」から現在の「データベースによる科学的トレーニング」に変化してきています。健康管理についても、アイシング、テーピング、スパイラルテープ、時期、プロテイン使用等々、我々の選手時代には考えも及ばなかったことばかりです。
 また、他方では、VTRによる一流選手のフォーム分析や強いチームの戦術分析、MRI等による選手のフィジカルな分析等も行われてきています。このように、競技スポーツで勝つための方法は大きく変化してきています。勝てる選手・チームを育成するのには、個々の能力やチームの能力をどのレベル(値)まで上げれば勝てるのか、目標を持った「目標達成型トレーニング」が重要になります。
 経験豊富な指導者の中には、データを取らなくても長い指導経験で知らずと目標とするアナログ的なデータを貯えている方もみえますが、デジタル的に評価できるデータは個々の選手の持っている能力と目標値との差を対比したり、トレーニングに取り組む選手のモチベーションを高める上で重要でしょう。
 一方、あるスポーツドクターの言葉を借りますと、「五体満足な身体でいたければ競技スポーツは行わない方がよい」といわれる程、競技スポーツにはケガが付きものであり、一流選手はいかにケガを克服するかということも大きな要素となります。
 勝つためにはスポーツ現場の選手、指導者が取り組まなければならない課題は山ほどあります。我々スポーツ現場に携わる者としてスポーツ医科学に期待するものは、
@選手の能力(体力・技術)向上のために必要な医科学的知識(必要なデータ含む)およびその能力を身につけるための具体的な方法手段の提供。
Aケガ・疾病予防および再発防止のための必要な処置に関するアドバイス
Bケガ・疾病等、被災時における具体的対処と早期復帰計画へのアドバイス-等があげられます。
 いずれにしても、「医科学的に解明されたデータを収集し提供する者」。それを「現場に生かす具体的方法手段を提供する者」。それを受けて「現場で実践する者」。以上三者が、三位一体となり強化育成に取り組む必要があります。