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スポーツ医科学(疲労骨折)

西本 裕(岐阜大学整形外科)

 高校1年の夏合宿、すねを痛がる女子選手、決して怠けるやつじゃない。痛みをこらえて続けてる。こういう選手をみたり、指導したりした経験のある方も おられるでしょう。ちょっと体が「硬い」方だったり、レギュラーに選ばれるかどうかのぎりぎりだったりもします。特に大きな力がかかって生じる通常の骨 折ではなく、小さな力が同じところに繰り返しかかることにより起こる骨折なのです。こういう骨折を疲労骨折と言い、スポーツでは走る、跳ぶ、打つ、投げ るなど各競技特有の動作を繰り返し行うために、競技の動作によって特有の部位に疲労骨折が発生します。
 ランニングでは骨後方、中足骨、ジャンプする競技では骨前面、打撃動作での中手骨、投球動作での肋骨、上腕骨などです。一般に、成長期で骨のまだ充 分硬くない、、中学生、高校生に多く、男子より女子に多いことから、筋力、柔軟性に乏しく、脚への衝撃を受けやすいという身体的要因が考えられます。また、 入部1年目での発症が多く、合宿のような短期間集中練習の後などに発症することが多く、身体許容範囲を超えて、練習が量的にも質的にも増加することが発生 の一因にもなっています。
 骨折は骨組織の連続性の破綻なのですが、一方で治る働きで「仮骨」が形成され、X線検査で、「骨膜反応像」も現れることがあります。ここは骨髄炎、 ユーイング肉腫、骨肉腫などでも見られますのでMRIなど他の画像検査を要する場合があります。無理な練習を続けていると治るのに時間がかかったり(遷 延治癒)、治らなくなる(偽関節)こともあります。通常はずれることはないので、痛みの強いときには、患部に対して約4〜6時間安静にし、そこにかかる 力を減らす必要があります。練習はその量を減らし、痛みの強いときのみ中止すればよいのですが、焦ることなく罹患部位以外のトレーニング、柔軟性の獲得、 足部の筋力トレーニングを欠かさないことが大切です。再発予防には、靴の工夫や練習時の路面の硬さなどにも注意を払う必要があります。何時までも治らな い場合、トップアスリートで早期の復帰を必要とする場合などには手術を行うこともあります。
同様に腰椎の疲労骨折である腰椎分離症でも安静やコルセットにて治らい時には手術的に治療してよい成績を上げています。