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スポーツ医科学(フィジカルトレーニング

川口 純子 (岐阜県スポーツ科学トレーニングセンター)
 チャンピオンスポーツの祭典であるオリンピックが終わり、日本選手の活躍には目を見張るものがありました。この裏側には、優れた技術と同様に様々なトレーニングがあります。今回はオリンピックを目指していた頃の女子ホッケーチームで実施したフィジカルトレーニングを紹介します。
   その前にホッケーについて触れておきます。試合は前後半合わせると1時間以上にわたり、選手は数秒から十数秒間、ほぼ全速力でボールを追いかけます。走る時は、前方だけでなく、動きを素早く切り替えながら走ります。ここで紹介するトレーニングはこれらの特性を高めようとした方法です。
【全身持久力を高めるランニング】
 グラウンド(ピッチ)の外周を1周ごとに徐々にスピードを上げながら5周走る方法です。具体的には1周目はゆっくりとしたジョギング程度のスピード、2周目は普通のジョギング、3周目はもう少し速く、4周目はもっと速く、最後の5周目は全速に近くなる速さで走ります。この方法では、1周ごとに制限タイムを設け、選手にそれぞれの周回の設定タイムを事前に告げておきます。トレーニング中は、1周ごとのタイムがわかるように時々タイムを読み上げます。私の場合は1周ごとに5秒から10秒くらい時間を短縮しました。制限タイムはチーム全体や選手個々の走力あるいはトレーニングの進み具合に合わせて設定します。
【動きの切り返しを取り入れたトレーニング】
 ミニコーンを1メートルから2メートル間隔で5個程度置き、選手はスタートラインに近い所のミニコーンに走って手で触れ、すぐに方向を変え、スタートラインまで戻り、すぐに2番目のミニコーンを目指して走ります。スタートラインから徐々に遠いところに置いたミニコーンに走り、触れるとすぐにスタートラインまで戻ることを最後のミニコーンが終わるまで繰り返します。このトレーニングのポイントは走るスピードは全速で、ミニコーンに触れるとすぐに動きを切り替えることです。
 トレーニングでは、それぞれのポイントを守るようにしましょう。
 体力はすぐに高まるものではありません。長い時間をかけて何度も繰り返すことが必要です。これからのトレーニングは競技の特性を理解しながら既成にとらわれることなく工夫しましょう。