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スポーツ医科学(スポーツと栄養)

牧野 和彦(岐阜医療技術短大)
 競技スポーツを目指しているあなたはただひたすら頑張ればいいという時代は終わりました。競技力向上を目指すあなたはまず、第一に適切なメディカルチェックを受けなければなりません。その上ではじめて科学的なトレーニングが生かされるのです。
 さらにスポーツを行う上で重要なことに栄養の問題があります。一般にスポーツは悪玉コレステロールや中性脂肪を減少させ、善玉コレステロールを増加させることにより、体に良い効果をもたらすと考えられています。しかし、激しいスポーツは活性酸素(フリーラジカル)を増加させるというマイナス面も合わせ持つことに注意しなければなりません。
 この活性酸素(フリーラジカル)は動脈硬化や老化を促進し、さらにはがんの発生をももたらす可能性が示唆されています。もちろん生体はこの活性酸素(フリーラジカル)の障害から身を守るための処理機構を持っていますが、時としてその制御を逃れて、重篤な組織障害をもたらすことがあります。
 この活性酸素(フリーラジカル)による障害は食事によってもある程度、予防することができます。したがって、激しいスポーツをする人は特に食事のバランス(ビタミンE,ビタミンC,β-カロチンを多く含んだ食事を取ること)に注意する必要があります。具体的には一日三十種以上の食品を食べることに心掛け、朝、新鮮な野菜ジュースを飲む習慣をつけるのもよいことだと思います。
 筋肉づくりや骨づくりには成長ホルモンが密接に関係しています。この成長ホルモンの分泌には日内リズムがあり、睡眠期に分泌が高まります。睡眠の前に良質のたんぱく質やカルシウムをとることは丈夫な体づくりにとって重要なことだと思われます。しかし、たんぱく質の取り過ぎは腎臓の負担を強いることにもなり、注意が必要です。
 また、筋肉の貯蔵エネルギーを増やして持久力を付けようとするカーボローディングという考え方があります。長距離選手などが試合前に筋肉内のグリコーゲン量を最大にしておこうというものです。大変、興味深い考え方ですが、実施に当たってはさらに注意深い検討が必要と思われます。その他スポーツ中の水分の摂取方法など大切な問題があります。
 幸い、岐阜県にはスポーツドクターのネットワークやスポーツ科学トレーニングセンターがつくられていますので、それらをうまく活用して十分、トレーニング効果を上げるようにしてください。