競技スポーツの振興
スポーツ医科学(スポーツと肉離れ)
木田 公洋(長良整形外科病院) |
寒い季節に肉離れが多く見られます。急激なダッシュ、ジャンプなどによって筋肉に強い力が働き、筋肉や筋膜に裂け目や切れ目が入るのを肉離れといいます。 筋肉は伸びたり縮んだりして体の関節を動かし、運動の原動力となっています。筋肉が縮む際、準備運動不足などで筋肉の柔軟性が足りないと縮みが円滑にいかず、肉離れが起こりやすくなります。一方、反対側では筋肉は強制的に伸ばされます。筋肉が伸ばされる場合、縮む時より余計に時間がかかります。筋肉のこの性質は筋肉粘性と呼ばれ、粘性が強いと肉離れが起こりやすくなります。従って予防法としては、筋肉の柔軟性を高めるための準備体操、柔軟体操が、また、筋肉粘性を少なくするためにはストレッチングが必要となります。スポーツ終了後の整理体操やストレッチングの不足は翌日に筋肉疲労を持ち越し、肉離れの原因となります。なおざりになりやすい負け試合のあとはなおさら元気よくやりましょう。 肉離れの治療は受傷直後はアイシングを行い、安静保持、患部に枕などをかって高くしておくことが大切です。なお安静期間中でも肉離れを起こしていない部分の筋力トレーニングは行っても差し支えありません。肉離れを起こした部分より心臓に近い部位を包帯や下着のゴムなどで締め付けないように注意しましょう。数日から1週間ぐらいで急性症状が消退したらストレッチングや入浴などを開始します。くれぐれも強いマッサージはしないようにして下さい。肉離れに対する強いマッサージは骨化性筋炎という障害を残す危険性があるからです。スポーツ再開始時期は症例により差があり約3週間〜2〜3ヶ月とバラツキがあります。いずれにしても肉離れを起こした筋肉は筋力低下が必ず起こってきます。再発予防のためにも長期間の根気強い筋力トレーニングが必要です。 スポーツ活動の際、ダラダラと行ったり、集中力が欠けていたり、ちゅうちょして動作がスムーズにいかない場合などに骨折、ねんざ、肉離れなどのスポーツ事故が起こりやすいといわれています。スポーツは一連の流れに乗って行うことにより外傷、障害を受ける動作が減少するのです。練習にしても試合にしても思いっきり一生懸命やることがスムーズな動きを可能にし、競技能力の向上、さらには事故防止につながるのです。優秀なプレーヤーはけがをしないといわれるゆえんはそこにあります。頑張って下さい。 |