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スポーツ医科学(ひざのねん挫)

船橋 建司(多治見市民病院)
 どんなスポーツにもねん挫はつきものです。軽いねん挫と思っていたら、じん帯が引き伸ばされて、切れてしまいスポーツができなくなることがあります。ねん挫したときの初期治療、診断、治療法について説明します。
 ねん挫をしてしまったら、運動は中止し、外傷の初期治療の原則である冷却、圧迫をして、足を高く挙げていてください。
 その後、普通に歩くことができれば、自宅で安静にします。翌日、ひざの曲げ伸ばしが痛くなく、走っても平気なら普通の運動に戻って構いません。痛くて歩けないときには、整形外科の診断を受けて下さい。正確な診断と治療が、スポーツへの早期復帰に重要です。
 ひざの4つの大きなじん帯のうち、ひざの両側にある内側、外側側副じん帯は左右への動揺性を、ひざの中央にある前、後十字じん帯は前後への動揺性を制限しています。
 側副じん帯を痛めたときは左右の不安定感とともに痛めたじん帯を押さえると強く痛むので診断は容易です。
 十字じん帯の損傷は、見落とされることが少なくありませんが、最近ではMRIという装置で、診断できるようになりました。
 じん帯が切れると、不安定なひざになり、思いきったプレーができず、「ひざ折れ」と入って、何かした拍子にひざが「がくん」と折れそうになります。この状態で運動を続けるとひざの関節軟骨や半月板を傷つけ、結局スポーツを中止せざるを得なくなります。
 治療法は、じん帯損傷の程度によりますが、軽い場合は専用の装具(サポーター)を使い、完全に断裂していれば手術が必要となります。
 最近、十字じん帯断裂手術は関節鏡という内視鏡でのぞきながら手術ができ、治療期間が短くなりリハビリテーションも楽になりました。
 ひざのリハビリテーションで大切なことは、ももの筋力トレーニングです。特にひざを伸ばす筋肉(大腿四頭筋)の筋力強化が重要です。
 運悪くねん挫をしてしまったときには、正しい知識で早くスポーツに復帰することを心がけて下さい。