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スポーツ医科学(スポーツ選手とタンパク質)

牧野和彦(岐阜医療短大)

 スポーツ選手にとって筋肉づくりは非常に重要な課題です。その筋肉づくりに必要な栄養素はもちろんタンパク質です。そこでタンパク質の効果的な摂取法ついて述べます。
 一般の人の1日のタンパク質必要量は体重1`当たり1.0cと言われていますが、スポーツをすることによりタンパク質の代謝が亢進しますので、持久系スポーツ選手は体重1`当たり1.2〜1.8c、筋力系スポーツ選手は1.5〜2.0cを摂取することが勧められています。筋肉の合成は、運動直後にかなり進みますので、運動終了後なるべく早くタンパク質を摂取することが重要です。
 また、タンパク質と糖質を一緒にとるようにすると筋肉の合成が効果的に行われます。タンパク質単独の場合は一部が血糖やグリコーゲンの合成に使われてしまいます。
 タンパク質はアミノ酸からできています。いろいろな食品から摂取されたタンパク質は、体内で一度アミノ酸に分解され、必要に応じて種々のタンパク質に再合成されます。しかし再合成される前のアミノ酸も体内で様々な生理作用を担っています。最近の話題として分子構造に枝分かれを持つ、分枝鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)は、長時間の運動で筋肉のタンパク質が分解されるのを抑制する働きがあると同時に、脳の疲労感を抑制する効果もあると言われています。これらを運動前あるいは運動中に適宜補給すれば、脳の疲労を軽減したり、高い集中力を保つことができるというのです。
 臨床では、肝性脳症という肝硬変症の末期に意識障害を来たす病態がありますが、分枝鎖アミノ酸の投与により、意識が改善されることは広く認められています。健常なスポーツ選手で分枝鎖アミノ酸が脳の疲労を抑制することができるかどうか非常に興味深いテーマではあります。
 また最近”クレアチンリーディング”と言って筋肉疲労を和らげる目的で、クレアチンを計画的に摂取することが行われるようになってきています。ドーピングの規制が厳しくなるにつれて分枝鎖アミノ酸やクレアチンというようなエルゴジェニック・エイドがスポーツ選手のパフォーマンス向上を目的として使用されるようになってきました。
 しかし、あくまでも通常のトレーニングを実行するのが基本で、安易にサプリメントに頼るのは好ましいことではありません。