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スポーツ医科学(多い関節、筋肉の障害)

竹田 賢(竹田整形外科)

  これから夏休みになりますが、生徒たちは秋の運動会、大会に向けての練習が多くなってくるころです。いつも気になるのは、この季節と冬のマラソン練習の時に必ずといっていいほど「踵(かかと)が痛い」「肉離れ」で走れない生徒たちが診察にくる事です。
 昔と違い最近の子供たちは野山を駆け回ることもないし、準備運動も真面目にすることもなくなっているのではないでしょうか?敏捷性も養われていないし、関節、筋肉の柔軟性もないため、急激な練習でスポーツ障害が起きても当然の事と思います。
 アシのスポーツ障害で多いのは足首、ひざ周囲の痛みと肉離れです。子供の骨には骨端線という身長を伸ばすために、軟らかい成長板があります。この骨端線が硬くなった腱に引っ張られると骨が剥がれたり、炎症を起こします。これが骨端炎と言われ、アキレス腱の付く踵の骨、ひざ下の骨の出っ張り(オスグッド病)によくおきます、
 肉離れは、中学、高校のスキルの高い子がシーズン初めや練習量が増す時期によくおこします。ふくらはぎやハムストリングス(大腿後面)の筋肉が好発部位です。1ヶ月間は走れなくなります。シンスプリント(腔骨過労性骨膜炎)といって、足首の上内側が腫れ、痛くなる子もいます。扁平足の子に多くみられますが、足の形がX脚やO脚でもひざの内側・外側に痛みが出てきます。
 これらのスポーツ障害に共通する原因は、関節周囲の筋肉が硬くなっているという事です。スキルの高い子は練習量に合わせて、ストレッチの回数を増やす。元来、関節・筋肉の硬い子は人一倍、ストレッチを充分に行うようにしましょう。運動後も必ず、ストレッチ、アイシングを忘れないように!
 学校の先生、指導者の方は、練習前に生徒の歩く姿でX脚・O脚・扁平足の有無がわかります。また、関節・筋肉の硬さは、体育の前屈でチェックできますので、ぜひ行って下さい。すり減ったくつ、走る道路の硬さも障害の原因になりますので注意して下さい。
 少子化の時代、前途有望な選手を見つけ、育てるのは容易ではありません。だからこそ、つまらぬスポーツ障害を起こして子供たちをつぶさない様に、家庭、学校、指導者、スポーツドクターが協力し合うことが一番大事ではないでしょうか。