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スポーツ医科学(中高年の運動 続けるコツ)

関谷 日登美(朝日大学)

 近年、中高年者にとっての運動の必要性が強調されています。運動が自らできる最も良い健康法の一つであることは多くの人がご存知のとおりです。定期的に運動を続けることによって、より長い期間身体的に活発であり続け、老化に伴ういくつかの病気や障害の発生や進行を止め、あるいは遅くすることができる可能性があります。
 具体的には体力の三要素である全身持久力、柔軟性、筋力をバランスよくトレーニングすることが大切です。全身持久力を高めることによって心臓、肺などの呼吸循環器系の機能を維持したり、改善することができます。ストレッチングやギムニクボール運動をすることによって筋肉が伸ばされ、身体を形づくる組織が保たれ、突発的な事故によるけがや転倒を防止することができます。また、チューブやダンベルを用いて筋力づくりをすることによって筋力の維持、向上ができ肩凝り、腰痛の予防、転倒防止につながります。
 中高年者では青年期と比べると敏しょう性、協調性、反応性、平衡感覚などが低下しているので、運動の取り入れ方としては原則として無理をせず、運動を楽しむことに主目的をおき、その中で最大の効果を上げるようにします。つまり、急激に過重な負荷がかかる運動は避け、他人と競うようなこともやめて自分のペースで楽しみながら行うことが大切です。また、メディカルチェックを受けてそのデータに基づき個人の消費目標カロリーを設定したり、許可された心拍数から運動強度の処方を受けるとよい場合もあります。
 運動の種類としては、大量の酸素を必要として高カロリーを消費する持久性運動、すなわちウォーキング、ジョギング、自転車こぎ、水泳、エアロビクスダンス、流水中の運動などを一定のペースを維持しながら行う有酸素運動が適しています。
 けがや傷害の発生を予防したり、翌日に疲れや痛みを残さないためには十分、底の厚いシューズを選び、ストレッチングなどのウォーミングアップ、クーリングダウンを手を抜かずに行うことも大切です。
 健康づくりのために行う運動は「継続は力なり」という言葉の通り、適度に休養をとりながら規則的に長期間にわたって続けることが必要ですが、上で述べた基礎的事項を念頭において、ゲーム性や自分の好みを生かしたスポーツを楽しむことが長く続けられるコツです。