競技スポーツの振興
スポーツ医科学(高地トレーニング)
松岡 敏男
(岐阜大学) |
ウィンタースポーツが盛んになるこの時期では、マラソンや駅伝がいろいろなところで開かれ、選手の活躍が報道されます。 12月には岐阜に日本の一流女子長距離選手が集まり、毎年駅伝が行われます。多くの選手は夏場などに中国やアメリカで長期にわたり高地トレーニングを行い、その成果を発揮していますが、問題も多くあります。外国での食事、言葉、人間関係などストレスも多く、長い滞在には体調を崩しやすくなり、コンディションを維持することが大変難しくなります。 国内でも同じような環境があり、トレーニングできればより効果が得られると思います。 最近、よく新聞に取り上げられているので皆さんもご存じと思いますが御岳山のふもとを開拓し、高地トレーニングのメッカにしようとしています。多くの選手がこの地でトレーニングするようになりました。 高地トレーニングによって高められる機能は有酸素性能力であり、高まった機能が平地においても有効に働くことで行います。 高地トレーニングの方法には高地で滞在して、高地でトレーニングを行ういわゆる高地トレーニング、高地に滞在しながら比較的低いところで十分に練習を行う方法、数日間の高地と低地を往復するインターバル方法などがあります。経済的に余裕があれば選手にあった方法が取れますが、普通は短期間で高地にて生活、練習を行うのが一般的です。 このような少ない滞在日数で成果を上げるにはどのようにすればよいのでしょうか?成果を上げようとして無理な練習計画をつくり強度を上げて行わないことが大切です。そして十分な休養と睡眠をとり、練習中は水分補給をマメに行うことです。短期間の滞在でも高地に対する適応が認められ、高地に対する順化が現れます。1〜2泊、または日帰りで高地トレーニングを経験し、繰り返し行っていますと高地に対する順化が早くできるようになり、または生理的な指標(血液、自覚的疲労度、心拍数など)も早く適応するようになります。 高地トレーニングというとどうしても有酸素系の運動種目というイメージが強いようですが、最近は無酸素性系の能力も高まることがわかってきました。今後は無酸素性運動と有酸素性運動が入り交じった競技でも高地トレーニングを行うことが多くなると思われます。 |