競技スポーツの振興
スポーツ医科学(科学的サポート〜選手の状態しっかり把握〜)
松岡 敏男
(岐阜大学) |
今の競技スポーツで世界のトップ(頂点)を目指すには競技者1人が単独でがんばっても無理な状況にあると思います。昔は競技者が独自の練習によってチャンピオンになった選手も多く出ましたが、今はほとんどの種目において競技者以外のサポートを受けることによって支えられています。最近のことでは世界水泳選手権で金メダルならびに世界新を出した平泳ぎの北島選手がいい例でしょう。チーム北島をつくり、世界一を目指してサポートスタッフがそれぞれ専門分野を生かし、記録を短縮するために知恵を出し合っています。 競技スポーツはある面では科学の最先端を使いながら、ある面では人間性にたよる非科学的な面でのサポートから成り立っています。競技を行うのは選手ですが、選手1人1人は個人差があり、それぞれの個性を持って新しいトレーニング方法や技術に挑みながら競技に取り組んでいます。 世界的な大会で陸上短距離種目においてメダルを獲得した末続選手も高野コーチのもとで走るフォームの改善に取り組んだそうです。コーチは選手に合わせた最良のフォームやトレーニング方法を行うことが科学的な視点として重要だと思われます。 今の時代はトレーニングや技術に関する情報が蔓延し、またすばやく知ることもできます。その中で選手にとってどのような情報が大切であり、有効かを選択し、選手に与えるタイミングの時期を把握する能力が重要と思います。 競技時では勝負と記録は必ずしも一致することはありませんが、勝つためには選手のコンディションを把握(環境状態を含めて)し、適切な指示を与える能力を持つのもコーチや周りのスタッフの力であると思われます。科学的な知識に基づいて的確な判断が勝敗を分ける事は多くあると思われます。 競技力を高めるためにいろいろな方面(技術分析、トレーニング、栄養、心理、フィジック)からの科学的サポートが可能であり、そのような方面の優れたスタッフが育ってきています。昔のように1人の指導者がすべてを指導するには無理があり、それぞれに優れたスタッフが力をあわせてサポートする時代になってきていると思います。 |