競技スポーツの振興
スポーツ医科学(アンチ・ドーピング活動)
牧野 和彦
(岐阜医療技術短期大学) |
国際的なアンチ・ドーピング活動はこれまで国際オリンピック委員会(IOC)主導の下で行われてきましたが、新たに世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が設立され、独立監視人システムを導入することによりアンチ・ドーピング活動が格段に強化されました。 わが国では、2001年アンチ・ドーピング活動のマネージメントを行う機関として、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が設置されました。これにより、世界標準のアンチ・ドーピング活動のための展開が可能となり、わが国における国際レベルの競技大会だけではなく、国民体育大会をはじめとする国内大会やジュニア大会においてもドーピング検査が行われるようになり、昨年の静岡国体から本格的に実施されています。 JADAはわが国におけるアンチ・ドーピング活動を推進するためにドーピング・コントロール・オフィサーを認定しています。岐阜県では私を含めてまだ2人しかいませんが、競技会並びに競技外検査の実施やアンチ・ドーピングに関する教育・啓蒙などについても積極的な活動を実施する予定です。 ドーピングは「選手の健康を損なうという医学上、健康上の理由」「フェアプレーの精神に反するという倫理上、道徳上の理由」「社会悪を生むという社会上の理由」の3点から堅く禁止されています。たとえ見つからなくてもドーピング行為によって得られた成績には何の価値もありません。スポーツを見る人は、個人の努力によって得られた力を最大限に発揮した選手に感動を覚え、拍手を送ります。ドーピング行為はこの精神に反するものです。 ドーピングに関する最近のこの話題としてはエリスロポエチン不正使用の検出に対して血液サンプルが使用されるようになったということです。筋肉増強剤としては蛋白同化ホルモンの使用が有名ですが、現在は検出が困難といわれる成長ホルモンの不正使用に対する検出技術の向上が最大の課題となっています。 一般のスポーツ選手にとっては故意によらない医師の処方によるドーピングが特に重要です。岐阜県スポーツドクター協議会や岐阜県スポーツ科学トレーニングセンターなどで気軽に相談してください。 |