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スポーツ医科学(競技者の突然死〜心電図検診でチェック〜

宮本 洋通 (朝日大学)

 スポーツ大会や学校の運動行事などで出場者が倒れて死亡することが新聞の記事になることがあります。このような事故は運動中の突然死といわれています。
 われわれ岐阜県スポーツドクター協議会も結成されて20年近くになり、さまざまな競技会の救護を担当してきました。その間、3件の死亡事故に遭遇しています。
 若年者のスポーツ関連の突然死に関する報告では、年間数一万件に一件というものが多く、頻度としては高いとはいえませんが、年齢を問わず、一見健康に見える者に突然起こるので、本人の不幸だけではなく、家族、社会に対する影響も大きいのです。
 突然死が起きたときを調べますと睡眠中が1番多く、ついで入浴中であり、スポーツ中はそれほど多くありませんが、それぞれについやされる時間を考えて危険率を出すと、スポーツが一番高く、2位の排便中の2倍近くになります。
 突然死全体ではスポーツ中の頻度は多くはありませんが、危険率はもっとも高いということになります。日本でも外国でも突然死を起こすのは男性が女性よりも多いということで一致しています。
 突然死を起こしたスポーツ種目別に見ると39歳以下ではランニングが1位で、次が水泳、40、50歳代がゴルフが1位で、次がランニング、60歳以上ではゲートボールが1位で次がゴルフとなっています。
 この順位は年代によるスポーツ愛好者数の影響もあり、それらを考慮して種目別の危険率を出すと40、50歳代では剣道が1位で、続いてスキー、登山、野球となります。60歳以上ではゴルフが1位で続いて登山でした。
 突然死の原因はほとんどが心臓にあり、そのもとになる疾患は若年者では肥大型心筋症、心筋梗塞といった虚血性心疾患が中心になります。ただ死語の検査でもこれらの明らかな心疾患を認めず、死につながる不整脈が発生したと推察されるものも特に若年者では多いのも事実です。
 予防はやはりメディカルチェックを受けることです。若年者については学校での心電図検診が行われ、成果を上げています。人間ドッグでは運動負荷試験を行わないこともあり、中高年では運動を始める時は、運動負荷試験を含めたチェックが必要になります。